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マニュファクチャーズ

岡尾 美代子

本体価格: 1600円+税


判型:B5変形
ページ数:152
初版年月日:2005/11/08
ISBN:4-7572-1124-4
ASIN:4757211244

 これまでスタイリストとしてたくさんのデザインに触れてきた岡尾美代子さんが、実際に自分の身の回りにおきたくなるのは、どんなもの?----本書は、岡尾さんがふだん使っている日用品や家具の、ふつうで、シンプルだけど、ちょっとうれしくなるかたちを写真とエッセイで紹介します。

 岡尾さんが、ひとりごとのように語る「もの」たちとの出会いや、日々の思い。思い出す風景。そこからは、岡尾さん独自のデザイン観や、日常的なものとの接し方も見えてきます。理屈ではなく、感覚的にそのものやデザインの良さをとらえ、空間をイメージする岡尾さんの視点には、共感を覚える女性も多いはず。

 写真を担当したのは、フリーカメラマンとして活躍する茂木綾子さん。撮影は、当時茂木さんが暮らしていたドイツ、ミュンヘンで行われました。ドイツの茂木さんの暮らしにすっかり溶け込んでいる「もの」たちの表情を眺めるのも、本書の楽しみの一つです。

その他情報

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こんにちは。
この本を読んでくれてありがとう。
ありがとう。

この本の意外なタイトル『manufactures(マニュファクチャーズ)』、辞書をひくと、「製品、製造品」と書かれてある。この本には、カゴや、手織りのブランケット、作家のポットなんていう、あきらかにハンドメイドのものもあるにもかかわらず、このタイトルになったのは、不特定多数の、大勢の人に使われるデザインに興味の中心があったからです。わかりづらくて、スミマセン。

この本の撮影はドイツ、ミュンヘンで行われました。2004年9月1日、ルフトハンザ・ドイツ航空に、怪しいかたち(トランクに入らないものはバブルシートで“ぐるぐる巻き梱包”にしたので、かなり歪なかたちになった)の荷物をチェックインしたのは、わたしです。スミマセン。写真はミュンヘンに住む(その後にスイスに移られた)、カメラマンの茂木綾子さんが撮ってくれたものです。茂木さん家の日常に、わたしの家のものを紛れさせてくれた。登場してくれた茂木さんのご家族、夫であるウェルナー氏、長女のリナちゃん、次女のサヨちゃん、ありがとう。Danke schoen!!!

それにしてもうちの中で使っているものの話を書くことになって、わたしは、少し、困ってしまった。

うちの中のものは、時間をかけて、自分の暮らしをイメージしながら選んだものであるし、好き、と確信して買ったものなのだけれど。もちろん、必要に駆られて買ったものや、後先を考えずに超衝動買いしたものもあるけれど、そういうものは、自然と生活の中で淘汰される。だから今残っているものは、ずいぶん好きなものばかりのはずなのに、それでも、少し、困ってしまったのは、わたしのものとのつき合い方が、変わっているせいかもしれません。

スタイリストという仕事柄、今までたくさんのものと関わってきた。たくさんものを見て、その中から選び取る。まずこれが、スタイリストのべーシックな作業。その後に選んだものを使って、スタイリング(コーディネイト)という、次の作業がある。この一連の作業の中で1番難しいのは、スタイリングではなく、ものを選ぶということでもなく、実はものを見ることなんじゃないかと思ってる。

ものを見る、ってことは、ものの背景とか、世界観(のようなもの)まで見るということ。「好き」、「嫌い」の感情の前に、客観的に向き合わなくちゃならない。これって結構難しいんだ。訓練と言うか、“意識”が必要になる。

こういうことを続けて来たせいか、どうもわたしはものを一歩引いた場所で見てしまうところがある。仕事ではなくて、家の中で使うものに対しても。愛情も思い入れもあるけれど、冷えた部分があって。要するに、屈折してるんだ。ものに対して。はたしてこの本で、わたしのこのカクカクと屈折した思いをうまく書けたのかどうか、心配ではあるけれど。 

うちにあるもの、使っているものをうちで撮らなかった理由も、毎日目にしてるものを、少し客観的に見たかったからです。あと、いつも散らかっているとこから脱出したかったのと、それに家で撮ったらきっとスタイリングしちゃったから。

(中略)

本を作るのって、本当に大変な作業。楽しいけれど、苦しい。でも面白い。でも苦しい。この繰り返し。ともあれ、本ができあがりました。気に入ってもらえると、とてもうれしい。

岡尾美代子
10.oct.2005. いつものマーブル、コーヒーショップにて。