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JAPAN UNDERGROUND

内山 英明 撮影

本体価格: 4800円+税


判型:B4変形判
ページ数:160
初版年月日:2000/08/01
ISBN:4-7572-0774-3
ASIN:4757207743

【快挙!第25回土門拳賞&2006年日本写真協会賞 年度賞同時受賞!】写真家内山英明氏が受賞しました。 地下ではSFの世界が現実のものである。20世紀に作られた日本各地の地下のライフラインや大深度の研究施設、地下壕の要塞から天然の洞窟まで61箇所を、7年の歳月をかけて撮影した渾身のフォト・ルポルタージュ。

※【復刊決定】復刊ドットコム様との共同復刊企画にたくさんの投票、支持のコメントをいただき、関係者一同心より御礼申し上げます。本日よりご注文いただけます。送料無料でお届けします。(ただし代引きをご希望の際には手数料200円税込が掛かります)

【お知らせ】2005年12月1日 写真家・内山英明氏公式Webサイト「Underground」も公開開始しました!関係者一同入魂の野心作、是非ご覧下さい。毎日そして、アクセス毎に自動更新のコンテンツもございます。今後徐々にコンテンツも充実させてまいります。皆様のご意見・ご感想をお聞かせ下さい。「アンケートに答える」ボタンをクリックして、ご投稿下さい。よろしくお願いします。

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【著者プロフィール】内山英明(うちやま ひであき)
 1949年静岡県菊川町生まれ。東京総合写真専門学校中退。1981年「アサヒグラフ」誌上で初めての連載を開始。同年から週刊誌、月刊誌上でドキュメント写真の発表を開始する。1985年《迷宮都市》に惹かれ東京、アジアや欧州を中心に撮影を始める。1992年 エイズが猛威をふるった年、HIVに冒され、日本で最初にカミングアウトした平田豊の支援活動と撮影を2年間、仲間たちと続ける。1993年よりTOKYOの未来空間をライフワークとして取り組み始める。撮影中、偶然に潜った東京の地下世界に強く惹かれ、今日まで日本の地下世界を撮り続ける。写真展「JAPAN UNDERGROUND」で第25回伊奈信男賞受賞。
【写真集】『等身大の青春−俵万智』(深夜叢書)、『都市は浮遊する』(講談社)、『いつか晴れた海で〜エイズと平田豊の道程』(読売新聞社)、『JAPAN UNDERGROUND』、『JAPAN UNDERGROUND㈼』(以上アスペクト)
【受賞】2000年度 第25回伊奈信男賞

 「地下」という言葉を耳にするとなぜか、実家の庭先にあった今は封印されてしまった井戸を思い出す。少年の頃ぼくは飽きもせずに井戸の中を覗いては、母によく「魂が吸われるよ」としかられた。井戸の中は冷えびえとした光がいくつも淡く萌えていた。水面をたえまなく雲が流れてゆく。井戸に放っていた鮒が頭をのぞかせると鏡のような水面に美しい水紋が舞った。

 この世界は一体どこへ通じているのか、未知の世界は確かなイメージをもたらすことなく、甘くせつない幻だけをぼくの心の中に植えつけた。井戸の穴ぐらの、怖く、どこか懐かしい世界から日常の時間の中へもどると、突きはなされたような快い淋しさが襲った。それこそ井戸という洞穴の深みがぼくに与えた最高の贈りものだった。大人になってもその淋しさの中にときおり佇んでいたような気がする。

 撮影で地下に潜るようになって、むき出しの穴ぐらを出て地上にもどるたびに、あの時のとまどうような感情がぼくの中に甦った。大切なのはその意味を知ることだ。

 異界を思わせる地下の森は時間さえ止まってしまったような森閑とした静けさが支配していた。その荒涼とした風景は、孤独な精神のふる里へ帰ったような懐かしく安らぎに充ちた世界でもある。地下世界はぼくたちの心の内側にも確かに存在するけれど、日常とはまた違った秩序の中にあった。その中ではぼくだけがいつも異物だ。地下のその巨大な現実性を目の前に浮上させること、それこそが大事なことだった。

 1994年から7年間、断続的ではあったけれど20世紀に作られた日本各地の地下のライフラインや大深度の研究施設、地下壕の要塞から天然の洞穴までぼくを執拗に潜らせたものは、何にでも大げさに驚いて不思議がる子供のような好奇心だった。

 地下には全体を指し示す地図は存在しない。複雑に重なって伸びているためそれを統合する全体の地図が引けないのだ。そこにはぼくたちの想像を越えた世界があった。何千回もの夜が訪れても、地下は休むことなく黙々と稼働を続けている。そこに見えるのはもうひとつの都市の顔だ。その封印を解いて地中の内蔵の奥深く潜るとき、まるで未知の国を探検する子供のような興奮がぼくを駆り立てる。地下では過去と未来が、始原の闇と人工の世界が、目に見えぬトンネルでひとつに結ばれていた。脈々と続く生の連続性が洞穴全体を覆っていた。

 地下世界がこれからどのように変わろうとも。光り輝く多様な大深度空間が作られようとも、地下の非合理で測り知れない闇の深さだけは消せはしない。ぼくらはみんなそうした闇の中から生まれたのだ。その闇は日常生活の亀裂に突然あらわれては謎のように消えてゆく。アンダーグラウンドには、ぼくの中の広い世界が意識となって投射され裸のままで眠っていた。いま必要なのは、地下世界とそとに世界とのつながりを日常性に見いだし、しっかりと回復させることなのかもしれない。

 最後に、写真集の出版に際して緻密な仕事ぶりで最後まで僕を励まし、忍耐強く見守ってくださったアスペクトの宮崎洋一氏、写真集の出版のきっかけを作り編集にも情熱をそそいで頂いた出版プロデューサーの松浦健一氏、デザイナーの守先正氏にお礼を言いたい。また個人の力だけでは潜れなかった地下施設も多くあった。そのたびにたくさんの編集者の力添えがあったことも忘れはしない。ここに深く感謝する次第です。
                                                               2000年6月1日 内山英明

 内山英明氏の写真集『JAPAN UNDERGROUND』・『JAPAN UNDERGROUND㈼』がTBS系列放送のTV番組「R30」〜restriction thirty〜毎週金曜日24:40〜25:25(一部地域を除く)で、5月のマンスリー企画として「東京の地下」をテーマに1ヶ月間毎週紹介されます。放送予定日は5月6日(金)・13日(金)・20日(金)・27日(金)となっております。MCはTOKIO国分太一さん、V6井ノ原快彦さんです。

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