世界はじつのところ、もうタガがはずれ底がぬけてしまっていること。かつては十年単位くらいで変貌していた世界が、いまは数ヵ月か数週間でせわしなく変容していること。世界内存在が根底からこわれているかもしれないこと。人間が在ることの根拠(または世界の根拠)も失せていると感じられること。おそらく「時間」もこわれてしまっているのだろうこと。時間は、ひょっとしたら、未来にではなく、過去にむかって逆むきにうつろっているかもしれないこと。古代へ、原始へ……。 (辺見庸『1★9★3★7』金曜日)
2016年05月04日 05時00分 タグ: 片山恭一 気になる言葉たち